「皆さん、選挙に行きましょう!」 |
参議院選挙の投票日が7月10日に迫って参りました。 選挙といいますと、「別に興味がない」と投票に行かない人や、投票に行っても「なんとなく名前を知っているから」を理由に票を入れる等、特に若い世代に顕著に関心のなさが伺えます。 最近巷をにぎわせた東京都知事の辞任問題がありましたが、そもそも当選させたのは東京都民の皆様のはず、最後はその都民の世論に引きずり降ろされた形となりました。 恐らく都知事選挙での「なんとなく」が生んだ悲劇なのでしょう。 世の中の景気や、生活等の身の回りの事など国や地方行政のルールは私たちが選挙で選んだ政治家しか決めたり変えたりする事ができません。なんとなく選んでみてダメだったよりも、やはり選びだす選挙の際に慎重な吟味をすべきなのです。 さて、最近の投票率につきまして総務省の公表資料によりますと、平成26年の衆議院選挙では投票率52.66%(うち20歳代は約32%、30歳代は約42%)、平成25年の参議院選挙では投票率52.61%(うち20歳代は約33%、30歳代は約43%)とやはり若い世代の投票率が特に低い事が目立ちます。また全体の投票率も「ほぼ平均的な意見の反映が可能とされる割合の3分の2程度」はあるべきと個人的には思います。 とはいいましても、大勢の若い世代が投票に行ったり、全体の投票率が上がったりしたとしても目に見えて何かがすぐに変わるわけではないでしょう。しかしながら「投票率が高いから」を理由とする高齢者厚遇の政策が多いこと等から見ても、現行上の政策にかたよりがあるのは明らかです。若い世代の投票率が上がる事でこの傾向に歯止めがかかるのは明らかです。 何より一人一人が、立候補者がどのような背景の下、何を考え、何を訴えているかを自分の目で見て耳で聞き、しっかりと自分で行う投票に意味があると思います。 選挙権年齢引き下げ後、初の選挙という事もあり注目を集める今回の参議院議員ですが、特にこれまで関心のなかった方、是非投票に足を運ばれて見てはいかがでしょうか。 |
( 野 神 ) |
「給与?外注費?」 |
「うちで働いてる○○さん、外注扱いにしようかなぁと思うんだけど、どうかな?」 「従業員さんの給料を外注費として処理したら、社会保険に入らなくてもいいし、おまけに消費税まで節税できるって聞いたんだけど、そんなことできるの?」 月次巡回監査でお会いした際、よく質問を受ける内容の1つです。経営者の立場からすると、少しでも経費や納税額を抑えたい!と思うのは当然のことですし、気持ちもわかります。しかし、この点については、税務上の取り扱いで大きな違いがあり、税務調査でもよく問題になる論点です。判断を誤ったまま処理していると、会社にとって後に大きな損害になりかねないため、注意が必要です。 まずはじめに、両者の定義付けですが、『給与』は雇用契約等に基づく雇用主が従業員に支払う労働への報酬のことで、消費税は"不課税"、社会保険については基本的に加入義務があります。 一方、『外注費』とは会社業務の一部を委託する業務委託契約書や請負契約等に基づき、外注先が行った業務への対価のことをいい、消費税の課税区分は"課税仕入"となります。社会保険については、加入義務がありません。 さて、『給与』に該当するか、『外注費』で処理するかですが、会社が勝手に決めてよい訳ではなく、上記の雇用契約や業務委託契約といった「契約内容」に加え、次の「業務実態」などの客観的な事実関係で判定しなくてはいけません。 ①その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか? →代替して業務を行える場合は、『外注費』となります。 ②役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか? →指揮監督命令を受けず、進行手順を自由に決められる場合が、『外注費』です。 ③まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか? →従業員には納品の可否に関わらず、定期的に給与が支給されることから、請求できない場合に、『外注費』となります。 ④役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか? →従業員である以上、社内の材料や工具を使用するはずなので、自身で用意する場合は『外注費』となります。 基本的には上記の内容で判断をするのですが、実際には業種によって材料を支給された上で業務を行ったり、指揮監督命令のもとで業務を行うこともあります。したがって、『給与』か『外注費』かの判断は、必ずしも上記の基準のみを形式的に当てはめて判断するのではなく、個別ごとの契約内容・業務実態に応じて総合的に判断することになります。ご不明な点やご相談につきましては、お気軽に各担当者までお申し付け下さいませ。 |
( 古 賀 ) |
「世界のFat tax」 |
国は経済の安定化のために政策を実行し、景気の調整をはかろうとしますが、税収不足が毎年のように語られる日本においては、他国の実例を参考にし、新たな税制度の導入が議論されることがあります。 つい先日、消費税増税及び軽減税率の導入の延期が正式に発表されましたが、このような税制も他国を例に取り入れたものの一つであります。ところが各国により社会問題の種類が異なるため、他国の人からすると驚くような税制が設けられていることもあり、それは日本人からすると中々斬新なものがあったりします。 例えば世界には総称して「肥満税/脂肪税(fat tax)」という、ユニークな税制があります。これは健康に影響を与える可能性がある飲食品に課税するというもので、世界で様々な課税対象が設定され、導入する国が増えている傾向です。 少しご紹介しますと、2011年9月にハンガリーでは国民の肥満防止を目的に、「ポテトチップス税」が施行されました。この課税対象はポテトチップスを含むスナック菓子や炭酸飲料水など、塩分や糖分の高い食品が該当し、5~20%の税金が課されます。 デンマークでも国民の健康促進や平均寿命を延ばすため、2011年10月に「バター税(脂肪税)」が導入されました。主にバターやチーズ、牛乳などの乳製品や肉類、食用油、加工食品など飽和脂肪酸が2,3%以上含まれる食品に対して、税金を徴収するというもので、自国生産品のほか輸入食品も課税対象となっています。しかし食品価格の高騰を招いた上、近隣諸国に買い出しにいく人が増えるようになり、国境付近の店舗は倒産にまで追い込まれ、結局効果がみられず約1年後には廃止となりました。 近年では2015年5月にはアメリカのコロラド州で「ソーダ税」が施行されました。アメリカの肥満人口は約35%で日本の約10倍の割合にあたります。 肥満による病気の治療費として、保険つまり税金が使われるので、疾患者数が増えると税負担も重くなるため、こうした税制に肯定的にみている国もあるようですが、果たして課税が食習慣を変える改善策になるのかは、まだ経過観察といったところでしょうか。 デンマークのように効果が現れず、またその産業が廃れたり景気の悪循環を招いてしまったりしては元も子もありません。先延ばしとなった軽減税率についてもまだまだ不安要素が満載というような状況でありますし、新たな税制の導入時には慎重に議論を重ねてほしいと思います。またどの国であれ、税は国民の健康で豊かな生活を実現するための財源としているものですし、税収確保のための思いつき政策ではないことを願います。 |
( 岡 﨑 ) |