返済猶予法案 |
中小企業経営者にとって、
現在の国会の最も注目すべきものの一つとしてあげられるのが、『中小企業者等金融円滑化臨時措置法案』(返済猶予法案)
ではないでしょうか。 自民党から民主党への政権交代の当初より、国民新党が掲げていた政権公約である 「困窮する中小零細企業の経営資金の返済については、最長3年間の支払いを猶予する制度」 というのが本格的に現実となろうとしているものです。 11月20日未明、国会において採決されたこの法案で、メディアでは、民主党の強行採決が大きく取りざたされていますが、 実際影響を受ける中小企業経営者にとっては、その内容を再確認しておくべきと思われます。 この法案の要点をまとめると以下の通りとなります。 ①金融機関の努力義務 金融機関は、中小企業又は住宅ローンの借り手から申込があった場合には、貸付条件の変更等を行うように努めなければならない。 ②金融機関の取り組み 金融機関は、上記の条件変更等の申込みに対し、円滑に対応できるように体制整備等の措置を講じなければならない。 また、その措置の実施状況等を開示しなければならない。 ③行政上の対応 金融機関は上記の体制整備等の措置を行政庁へ報告し、行政庁はその報告を取りまとめ公表するものとする。 ④更なる支援措置 政府は、信用保証協会が行う中小企業者に関する信用補完事業の充実にかかる財政上の措置を講ずるものとする。 内容を見てみると、当初亀井大臣が言っていた、「返済を猶予できるようにする」 とはちょっとニュアンスの違う内容となってしまったようです。 つまり、現状では、金融機関側は、中小企業の申込みに対して誠心誠意対応すれば良く、 最終的に努力したけれども条件変更には応じることができませんという結果となってもおかしくないのではないでしょうか。 まだまだ経営状況の安定しない中小企業においては、この法案はとても重要な意味を持つ可能性があります。 実際に法案が施行された後、金融機関においての対応がどのようになるのか現時点では不透明な状況ではありますが、 弊社として今後も最新の情報をお届けできるよう注目していきたいところです。 |
( 河 瀬 ) |
新型インフルエンザ |
新型インフルエンザが猛威を振るい、全国で学級閉鎖や休校が相次いでいます。
会社においても、労働者が新型インフルエンザに感染した場合やその可能性がある場合には、 何らかの措置を講じなければなりません。 その時に問題になるのが休業手当です。 ここでは一般的な事項を取り上げたいと思います。 『 会社は労働基準法第26条(※)に定める休業手当を支払う必要があるのか 』 (※)労働基準法第26条・・・ 使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合は、使用者は休業期間中労働者に、 平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。 ①労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合は? 新型インフルエンザに感染しており、医師等による指導により労働者が休業する場合には、 「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるので、休業手当を支払う必要はありません。 医師や保健所による指導や協力要請の範囲を超えて(外出自粛期間経過など)休業させる場合には、 「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。 ②労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合は? 新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、 通常の病欠と同様に取り組めば足りるものと考えられます。 一方、例えば熱が37度以上あるなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、 使用者の自主的な判断で休業させる場合は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に当てはまり、 休業手当を支払う必要があります。 ③労働者の家族が感染したためその労働者を休業させる場合は? 濃厚接触者であることなどで保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合には「使用者の責めに帰すべき事由による休業」 に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。 協力要請等の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的な判断で休業させる場合は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」 に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。 ④感染疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したとする取扱いに労働基準法上問題は? 年次有給休暇は原則として労働者の請求する時期に与えなければならないもので、使用者が一方的に取得させることはできません。 以上のように、使用者の自主的な判断か否かというところがポイントになります。 まずは新型インフルエンザに感染しないように手洗い・うがいを徹底する、栄養をしっかりとって免疫力を高める、 予防接種をする等、予防対策を行いましょう。 |
( 中 川 ) |
改正労働基準法 |
「労働基準法の一部を改正する法律」が平成20年12月12日に公布され、
平成22年4月1日から施行されます。 主な改正として、時間外労働の割増賃金率と年次有給休暇の時間単位付与が挙げられます。 長時間労働者の割合の高止まり等に対応し、生活時間を確保しながら働くことができるようにするため、 労働時間制度の見直しを行うなどの必要に応じた改正となります。 現状の時間外労働に対しては時給または日給の25%増しの割増賃金ですが、 改正により1か月の時間外労働のうち60時間を超える分については50%増しの割増賃金の支給、あるいは25% 増しの割増賃金と代替休暇を支給する必要があります(法的措置)。 これについては一部の中小企業については猶予措置が講じられています。 さらに60時間を超えない分についてですが、45時間までは現状の25%増し、45時間を超えた分については、 労使協定において25%を超える割増賃金率を定めるように努めることが求められています(努力義務)。 割増賃金率を高めることによって、経営者は時間外労働をできる限り短くするように努める必要がある一方、 労働災害の発生を未然に防ぐことができることで高額な損害賠償責任に問われる可能性も少なくなり、 また従業員にとっては時間外労働の減少により精神的な余裕も生まれ、 より良い状態で仕事に取り込むことができるようになるのではないでしょうか。 続いて年次有給休暇についてです。 現状は一日単位で取得するものですが、労使協定を締結することにより、一年間に5日分のみ時間単位での取得が可能になります。 時間単位で有給休暇の取得が可能になると、子育てをされている方にとっても、 より柔軟に有給休暇が取れるようになるのではないでしょうか。 (詳しくは厚生労働省のホームページに掲載されています。) 昔と違って今では、正社員、アルバイト、派遣、契約社員、日雇いなどさまざまな雇用形態があります。 「日本は中小企業によって支えられている」と言います。 その中小企業に属しているのは、 会社の経営者である社長や役員のみなさんと従業員であることをこの法改正によって改めて実感しました。 |
( 北 島 ) |
天眼通(てんげんつう) |
新インフル病棟 エコ、省エネのため、発熱外来入院棟の照明は、 発熱入院患者の熱で発電しています。 |
続きを読む 平成21年12月号