「消費増税に向けて」 |
先日、安倍首相の元、政府は臨時閣議にて予定通り消費増税を行う姿勢を表明しました。 これにより消費税率変更について3度目の延長は行われる事なく、2019年10月1日より消費税率10%への変更が行われる見通しです。 そこで、私達もこれをいよいよ現実のものと受け止め、消費税について「何が、どう、いつ」変わるのかを改めて整理してみましょう。 ポイントは税率だけではなく、これに連動してさまざまな事が変化するという点です。 1.消費税率が変わる ①引渡日が2019年10月1日の取引より、消費税率が10%と変更となります。 ②同時期より軽減税率制度が導入され、「食品」及び「新聞」の消費税率には8%が適用されます。 ③経過措置として2019年3月31日までに締結された請負契約等については、2019年10月1日以降の引渡日であっても8%の消費税率が適用されます。 軽減税率の対象となる「食品」とは、売り手側が販売時に「人の食用又は飲用を目的として販売するもの(外食・酒類を除く)」をいいます。 例えば生きた魚の場合、スーパー向けに食用で卸売りする場合は8%が適用されますが、熱帯魚屋向けに観賞用で卸売りする場合は10%が適用されることとなります。 2.免税事業者を取り巻く環境が変わる 現行、毎年の確定申告で税務署へ納める消費税は、売上代金に含まれる預り消費税から、仕入代金に含まれる消費税を控除(これを「仕入税額控除」といいます。)して計算しています。 ①2023年10月1日より、免税事業者からの仕入は、その仕入代金に含まれる消費税の8割しか、仕入税額控除ができません。 ②2026年10月1日より、免税事業者からの仕入は、その仕入代金に含まれる消費税の5割しか、仕入税額控除ができません。 ③2029年10月1日より、免税事業者からの仕入は、その仕入代金に含まれる全ての消費税について、仕入税額控除ができません。 上記改正は、「免税事業者から仕入れを行うと不利になる」という内容です。 国が長年にわたり懸念している事が「免税事業者における消費税のもらい得」です。 免税事業者は税込みでもらい受けた売上金について、そこから消費税を負担する必要がないため、消費税分を利益とする事が可能です。 この度、消費税率が10%となる事でその利益幅が大きくなる事から、これを重く見た国が免税事業者に規制を入れた形となります。 これにより将来的に免税事業者は、売価を税抜金額とした上で「当社の販売価格には消費税を付加しておりません」などとアナウンスしなければ誰もモノを買ってくれなくなり、市場競争から排除されてしまうでしょう。 3.請求書が変わる ①2019年10月1日より「区分請求書制度」が開始されます。 ②2023年10月1日より「適格請求書制度(いわゆるインボイス制度)」が開始されます。 インボイスとは「税額を証明した請求書」の事をいいます。 これからの軽減税率制度の導入により、1枚の請求書に8%と10%の取引が混在された数値が記載される事となります。 これに備え、請求書のルールを整備しなければ取引に混乱が生じます。そこで「売り手が、買い手に対し適正な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」として軽減税率の対象品目等の記載を義務づけました。これを「適格請求書」といいます。 買い手側はこの「適格請求書」がなければ消費税の仕入税額控除ができません。また売り手側はこの「適格請求書」を発行する為に税務署への登録申請手続きを行う必要があります。 この「適格請求書」のお試し準備期間として、「税務署への登録申請手続」を省略した制度が「区分記載請求書制度」となります。 消費増税、巷では来年の選挙前にドタンバ延長があるのでは?のとの噂もあり、個人的にはそれに淡い期待を抱いておりますが、現実的に税率改正は決定事項ですので、来年の10月に向け準備せざるを得ないのが現状です。皆様、そろそろ心の準備が必要です |
( 野 神 ) |
「帳簿の保存期間」 |
得意先より、書類の整理を行うため保存期間をよく聞かれることがあります。年末に向けて早めに整理される企業も多いかと思いますので、今回は帳簿の保存期間について書かせていただきます。
保存期間については、商法や税法などで異なるのですが、今回は法人税法を基に整理させていただいています。国税庁のホームページには以下の文章が記載されています。 【法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注2)保存しなければなりません。 また、法人が、取引情報の授受を電磁的方式によって行う電子取引をした場合には、原則としてその電磁的記録(電子データ)をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。 ただし、その電磁的記録を出力した紙によって保存しているときには、電磁的記録を保存する必要はありません。】 1. (注1)?「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。 2. (注2)?平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。 また、平成27年度及び平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。 この文章では、(注2)の記載がややこしいと思います。簡単に説明しますと、赤字が出た場合(法人税法上の欠損金)の繰越し期間が改正により、7年から9年そして、10年に改正されたという事です。法人税法上の計算で欠損が出た場合は、その期間により9年や10年の保存という事なので、毎年利益が出て法人税を支払っている企業は7年ですが、欠損金が出た年度があるという企業についてはとてもややこしいかと思います。よって、最大である10年の保存と記憶しておけば現行の法人税法では大丈夫という事になりますので10年の保存を推奨します。 |
( 古 堅 ) |
「QRコードによる所得税等のコンビニ納付の開始」 | |
国税のコンビニ納付は以前から認められていましたが、コンビニ納付には以下の利用条件があり、条件(4)のケースでは、納税者からの依頼後、税務署が納付書の発行手続きを行っていたため、バーコード付の納付書が発行されるまでに時間を要し、申告後すぐに納税を済ますことができませんでした。
【利用の条件】 国税のコンビニ納付には、バーコード付納付書が必要で、バーコード付納付書は、納付金額が30万円以下で次のような場合に所轄の税務署で発行します。 (1) 確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等) (2) 督促・催告を行う場合(全税目) (3) 賦課課税方式による場合(各種加算税) (4) 確定した税額について納税者から納付書の発行依頼があった場合(全税目) 平成31年1月4日以降、コンビニ納付の手続きの改正により、自宅等において納付に必要な情報(氏名や税額など)をいわゆる「QRコード」(PDFファイル)として作成・出力することにより可能となります。 利用方法は次のとおりです。 (1) 自宅等で作成・出力した「QRコード」(PDFファイル)をコンビニ店舗に持参 (2) いわゆるキオスク端末(「Loppi」や「Famiポート」)に読み取らせることによりバーコード(納付書)が出力 (3) バーコード(納付書)によりレジで納付 (注) 詳細な利用方法等については、今後お知らせしていきます。 1 QRコードの作成・出力方法 (1) 確定申告書等作成コーナーからの作成・出力 確定申告書等作成コーナーにおいて、所得税、消費税、贈与税の申告書を作成する際に、QRコードの作成を選択することで、申告書に併せて、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が出力(作成)されます。 (2) 国税庁ホームページからの作成・出力 国税庁ホームページのコンビニ納付用QRコード作成専用画面において、納付に必要な情報(住所、氏名、納付税目、納付金額等)を入力することで、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が出力(作成)されます。 (注1) 納付できる金額は従来のコンビニ納付と同様に30万円以下となります。 (注2) 作成したQRコード(PDFファイル)をスマートフォンやタブレット端末に保存し、スマートフォンやタブレット端末の画面に表示してキオスク端末に読み取らせることも可能です。 2 利用可能コンビニ ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ) ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ) ※国税庁HPより抜粋 納付できる金額は30万円以下となりますが、銀行に行かずに済み、コンビニで納付を済ませることができれば利便性が高いと思います。対象となる方がいらっしゃいましたら利用してみてはどうでしょうか。 |
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( 瓦 ) |