「年末調整の電子化」 |
2020年も終わりが近づき、また年末調整の時期がやってまいりました。 ところで今年から年末調整の電子化が開始される事をご存知でしょうか。 年末調整で登場するものと言えば、扶養控除申告書などの「各種申告書」と生命保険料の控除証明書などの「各種証明書」です。 従来はこの「各種申告書」や「各種証明書」について、従業員は「紙で会社に提出」し、会社は「紙で受取り、紙で保管」していたものを、年末調整の電子化により、従業員は「電子データで会社に提出」し、会社は「電子データで受取り、電子データで保管」が可能となります。 年末調整の電子化により、会社は「紙による書類保管からの解放」、従業員は「手書きによる書面作成や控除証明書の紛失リスクからの解放」が、それぞれメリットとして挙げられます。 既に国税庁からは、従業員が各種申告書をデータ作成する為のソフトについての無償提供が開始され、また各保険会社からは控除証明書についての電子発行が開始されております。 年末調整の電子化とは、このように"年末調整に関してのペーパーレス化"を促進する制度となっており、税務署へ届出書を行う事により実施する事が可能となっております。 しかしながらこの制度、便利な側面だけでは無く、注意点もございます。 「居住年が平成30年以前である住宅ローン控除証明書」等、控除証明書の一部については電子化が認められておらず、従来通りの紙でのやりとりが必要となります。 また、セキュリティ上の観点から、会社は従業員から受け取る電子データについて、個別のパスワードや電子署名の設定が要求されており、事前に一定の準備が必要となります。 年末調整の電子化は強制化されるものではなく、任意の制度となっております。 個人的には上記2点の問題点につき、「紙でのやりとりが必要な控除証明について、どのように受け渡しや保管を行うのか」、「電子データのセキュリティをどのようにおこなうのか」を事前にしっかりとルールを決めた上で取り組んで頂ければ、リモート化が進む今後において必ず活躍する制度であると考えております。 |
( 野 神 ) |
「第三のビール」 |
10月1日からビールの税金が安くなり、第三のビールの税金が高くなりました。ビールについては、1リットル当たり20円、350ミリリットル缶1本では7円の値下げです。発泡酒(麦芽比率50%以上)も同じ金額の値下げとなります。一方、いわゆる新ジャンルといわれる第三のビールが人気を集めていますが、こちらは1リットル当たり28円、350ミリリットル当たり9.8円の値上げとなります。安くて美味しいと評判の第三のビールの増税は、家計に大きな影響を及ぼしつつあるのではないでしょうか。また、果実酒も増税となり、1リットル当たり10円、750ミリリットルのボトル1本で7.5円の値上げとなりました。実際、10月が目前に迫った際には、値上げに備えて買い占めが起きているというニュースを見ました。新型コロナウイルスの感染拡大で、オンライン飲み会など家飲みの機会が増えていることが、さらに拍車をかけているということでした。 日本の酒税法では、使用原料と麦芽の使用割合により、ビールと発泡酒を区分しております。ビールは、①麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの(麦芽の使用割合100%)及び②麦芽、ホップ、水及び麦、米や果実、コリアンダーなどの香味料等の特定の副原料を使用して発酵させたもので、麦芽の使用割合が50%以上のものをいいます。発泡酒は、麦芽又は麦を原料の一部とした発泡性のある酒類で、具体的には、①麦芽の使用割合が50%未満のもの、②ビールの製造に認められない原料を使用したもの、③麦芽を使用せず麦を原料の一部としたものが該当します。第三のビールは酒税法上ビールまたは発泡酒に属さない扱いであり、①原料を麦、麦芽以外の穀物(主に豆類由来)にしたもの、②発泡酒に別のアルコール飲料(大麦、小麦等を問わない麦由来のスピリッツや焼酎)を混ぜるという手法をとっているものです。マスメディア・広告代理店によって作られた用語である第三のビールとは、あくまでもビールではないので表現としては不正確ですが、用語として定着しています。 酒税法改正は今後2023年、2026年(いずれも10月)にも施行され、ビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)は350mlあたり税額55円前後に一本化される見通しです。麦芽比率やホップの使用の有無でビール類は現在、ビールと発泡酒、新ジャンルの3つに分類されていますが、2023年10月の段階でビールと発泡酒の2分類になり、現在の第三のビールは発泡酒として扱われることになります。段階的な増税時期に注意して、購入する際は一度ご検討いただければと思います。 |
( 上 谷 ) |
「大阪都構想」 |
大阪市を廃止し、四つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う2度目の住民投票が2020年10月12日に告示され、11月1日に投開票が行われます。大阪都構想といえば2015年にも住民投票が行われ、その時は反対約70万票、賛成約69万票の僅差で否決されました。これを機に都構想を提唱した大阪維新の会代表の橋本徹氏は政界を引退しましたが、維新は大阪府知事・大阪市長のダブル選挙などで大勝したこと等により、改めて住民投票が行われることとなりました。 そもそも「大阪都構想」がなぜ必要なのか?と私は疑問を抱きました。大阪維新の会のホームページでは、都構想議論の最大の焦点は「二重行政の解消」とあります。大阪では、大阪府と大阪市が狭い面積の中で同じような行政サービスを行い、非効率な税金の投資を繰り返してきたそうです。例えば、りんくうゲートタワービル(大阪府)とワールドトレードセンタービル(大阪市)です。府と市で高さを競い合って税金を投じ、当初の計画よりもどんどん高く建設されたという話です。その他にもどれだけの税金が投資され、どういう結果になっているのか記載されています。 これを見ると、大阪府民や大阪市民あるいは法人等が納めた税金をこんなにも無駄遣いされていたのかと、ショックを受けました。税金を納めるということにネガティブなイメージを持つ方が多いと思いますが、それも当然のことだなと思います。しかし二重行政を解消すれば良くなるのか、都構想が実現すれば良くなるのか等多くの疑問が残ります。そもそも二重行政という課題が明らかになっているのであれば、現状のまま解消することは出来ないのだろうか?と思います。 今回の住民投票の結果がどうあれ、我々が納めた税金を無駄遣いすることなく、正しく活用できるような行政になってもらいたいものです。納税がポジティブに捉えられるような世の中になれば良いですね。 大阪維新の会のホームページには都構想の良い部分が多く描かれています。反対派の意見を聞くと都構想のデメリットも見えてきます。両者の意見を聞きながら、よく考え11月1日の住民投票に備えたいと思います。どうなる大阪? |
( 中 川 ) |