「記憶」と「記録」 |
よくプロ野球の世界などで、あの選手は『記憶に残る選手だ』
なんて表現をしたりします。 一般的にスポーツでは『記録』というものを重視する傾向がありますが、それ以上に絶大な『記憶』 を与えるような選手に対してこのような表現をします。 最近では元巨人軍の清原選手がまさにその典型かもしれません。しかし、時がたてば曖昧な印象を重視した『記憶』(イメージ) というものは変化していき、100年、200年経った後、最終的に残るのはやはり『記録』です。 皆さんは「レコーディングダイエット」という言葉をご存知でしょうか。 岡田斗司夫氏が著書で紹介したダイエット方法で、最初耳にしたときは、 カラオケにでも通ってダイエットをするのかと思いましたが、実際には、「朝食には何をどのくらい食べた、今朝の体重は○○kg、 今日は何分ウォーキングをした・・・」といったデータを事細かに『記録』(レコーディング) することによって自然とダイエットに対する意識が高まり、結果的にダイエットの成功につながるというものだそうです。 ふと考えてみると、会社経営においても同じことが言えるような気がします。 私たちがお手伝いしている経理・財務という数字の『記録』をもとに、実際の営業活動との『記録』との相違点などを分析し、 事業戦略に役立てていただくことが重要です。 もちろん将来に向けての『記憶』(イメージ)は重要ですが、根底にある『記録』(レコーディング) を怠っては何の意味もありません。 この厳しい時代だからこそ、将来よくなるであろう『記憶』(イメージ)に頼ることなく、目を背けたくなるような『記録』 をしっかりと分析し、「レコーディングマネジメント」を心掛けてみてはどうでしょうか? |
( 河 瀬 ) |
ジャストインタイム(トヨタカンバン方式) |
ジャストインタイムという言葉をご存知でしょうか? トヨタカンバン方式といった方が馴染みがあるかも知れません。 これは、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」生産(供給)するという生産管理手法をいいます。 自動車メーカーのトヨタが先進的に取り入れた手法として有名になりました。 製品を生産する際に仕掛在庫を極力少なくすることを目的に会社内部に「カンバン」 と呼ばれる書類を材料や製品などと一緒にリレー方式で回していきます。 そこには次に必要な材料や作業量を明記しておき各部門に迅速に伝えていきます。 これを繰り返していくことで在庫の停滞を防ぎ、効率的な生産活動を行っていこうというシステムです。 近年では、ジャストインタイムと併用して仕入先から得意先までモノの流れの一連を総合的に管理するシステムも注目されています。 つまり、自社のみならず取引先との連携による在庫管理です。 もし、仕入先や得意先の営業の状況が分かっていれば、自社で必要な仕入数なども予測が付いてきます。 そのような情報を各社で共有しようという試みです。 実際には、あまりに詳細な情報を他社へ提供することで抵抗があるかと思いますが、 日々のコミュニケーションの範囲内で取引先と相互に情報を交換することは新たなニーズの探究やビジネスチャンスにもつながっていく可能性もあり非常に重要であると思います。 さて、一見製造業向けの管理手法ですが一工夫すれば様々な業態で応用することが可能となります。 経営者の皆様であれば、過剰在庫や不良在庫の存在に頭を悩まされた方もおられるのではないでしょうか。 そもそも在庫というのは仕入のためのお金が掛かっているものであり、 売上として回収していかなければ資金繰りの健全性は保たれません。 通常の原価率算定の際には売上原価と売上高とを対比させるため、 在庫に対する危機意識は他の経費に比べやや軽んじられる傾向にあります。 しかも在庫は会計上、経費として計上できないため、実際の資金繰り以上の利益が計上される原因ともなります。 昨今の大不況の中、資金繰りをどのように回していくかは経営者に課せられた非常に重要な課題です。 既に様々な手段を考えておられることと思いますが、上記の「ジャストインタイム」 を参考に在庫管理について今一歩踏み込んだ見直しを検討され資金繰りを楽にされてみてはいかがでしょうか? |
( 古 塚 ) |
世界の会計 |
最近、新聞等で会計に関する話題で「IFRS(イファース)」
という単語をよく目にします。 IFRSとは国際財務報告基準の略称であり、世界共通の会計基準を意味します。 では今回は、何故このIFRSが今必要なのかということも含めて少しお話させていただきたいと思います。 現在、世界各国では様々な会計基準が採用されています。 会計基準とは企業の決算の際に作成する決算書を作成する基準となるものです。 会計基準が違うと日本の企業の決算書と他国の企業の決算書を正しく比較することはできません。 簡単な例を一つ挙げますと、 ある資産を評価することに対して日本の会計基準による評価とアメリカの会計基準による評価とではその価値が異なってくる場合があります。 これは、投資家や債権者にとって決算書を比較する上で非常に大きな問題になってきます。 更に、企業も世界各地に営業所や子会社を作る時代となった今、国際的に認められる決算書を作成するためには、 現状のようなバラバラの会計基準では限界があるとして、世界共通の会計基準を設定しようという活動が始まりました。 実際にこの活動は1973年に国際会計基準委員会という組織が発足し「IAS」 という国際会計基準を設定したことにより始まります。 その後2001年に国際会計基準委員会は国際会計基準審議会となり、その組織がIASを元にIFRSを作成しました。 このように、活動自体はかなり昔から始まっていましたが、参加に積極的だったヨーロッパ諸国の一方で、 アメリカや日本が消極的だったということもあり、なかなか会計基準の統一が難しかったという歴史があるようです。 しかし、近年アメリカが自国の会計基準からIFRSへのコンバージェンスを進めていくという声明を発表したことをきっかけに、 世界的会計基準の統一への動きが一気に加速しました。 これに伴い、日本もIFRSの任意適用から強制適用へという動きが高まってきています。 当面は連結決算を組む上場企業等が対象となっていますが、今後は中小企業にとっても、 IFRSは会計処理をする上で無視できない問題になってくるかもしれません。 |
( 永 田 ) |
天眼通(てんげんつう) |
新インフル病棟 エコ、省エネのため、発熱外来入院棟の照明は、 発熱入院患者の熱で発電しています。 |
続きを読む 平成21年8月号